マーチンギターの中で最も有名なモデルと言えば、"D-28”。スクエアショルダーにベルシェイプのボディを持つ14fジョイントのドレッドノウトモデルはアコースティックギターの定番とも言われ、全てのフラットトップギターの基本とされてきたと言っても過言ではないワールドスタンダードモデルです。ドレッドノウトモデル自体は、1916年に”Oliver Ditson Company(オリバー・ディットソン・カンパニー)”用の商品として誕生しました。当時のドレッドノウトモデルは12fジョイントで、ボディ形状もそれまでにあった小型の”Concert”サイズを拡大した形状でした。その後、1930年にDitoson社が売却されたことを受け、Martinは自社用のモデルとしてMartinドレッドノウトモデルの製造を開始します。1931年から出荷されたMartin”D-28(12fジョイント)”ですが、その出だしは決して順調ではなく、売れ行きもまちまちだったようです。その原因のひとつには、Martin社がドレッドモデルを完全に採用することを躊躇していたのか、カタログにも掲載されていなかったそうです。そんな”D-28”ですが、1934年初頭に14fジョイントモデルへと進化します。この時に、今では当たり前に見られ定番と称されるボディ形状が誕生しました。しかし、その存在は依然として変わらず、カタログにも掲載されず売れ行きも低迷していたそうです。そんな”D-28”は1935年7月にカタログに掲載されると、その売れ行きや知名度は劇的に変化し、その後のワールドスタンダードへと成長していきます。本器は、ファーストイヤーとなる1934年製”D-28”。14fジョイントモデルのドレッドノウト初年度となる逸品です。ドレッドノウトモデルのアイコンであるヘリンボーントリムやベルシェイプボディなどは、この初年度から変わらず引き継がれていることが確認できます。トップにはアディロンダックスプルース、サイド&バックにはハカランダ、マホガニーネック、エボニー指板&ブリッジ、ロングサドル、グローバーオープンバックペグ、べっ甲柄セルロイドピックガード、スロッテドダイヤモンド指板インレイ、ジグザグバックストリップ、アイボロイドバインディング、、などなどの現在のレプリカモデルで見られる特徴も、しっかりと実在しています。また、戦前のドレッドモデルで有名なスキャロップドXブレイシングですが、もちろん本器でも採用されています。戦前モデルのブレイシング位置で有名なのはフォワードシフテッドXブレイシングですが、実は34年〜35年の途中まではブレイシング位置が異なります。サウンドホールからの位置が、フォワードシフトの場合25,4mm(1”)なのに対し、本器では約30mm(約1.15”)とほんの僅かにブリッジ寄りに配されています。また、34年はネック補強芯や使用フレットの仕様変更過渡期でもあり、本器はエボニーロッドにバーフレットと言った、初期の仕様になっています。ヘッド裏のスタンプ刻印も14fモデルではまずお目にかかれず、その全てが歴史的遺産とも言える1本です。1934年製の”D-28"は後の35年製以降と異なり、製造本数も極めて少なく50数本程度しか存在しません。その中でもここまでのエクセレントコンディションかつフルオリジナルのものはまずお目にかかれない、ワールドクラスのレアアイテムです。世界で最も有名なギターのひとつ”D-28”、その初年度となる1本、さらには奇跡的なコンディションの歴史的1本。この機会を逃しては2度とお目にかかれない可能性が高い逸品です。その他詳細などはお問い合わせください。

Condition:EX+++
Top:Solid Adirondack Spruce
Side:Solid Jacaranda
Back:Solid Jacaranda
Neck:Mahogany
Fingerboard:Ebony
Bridge:Ebony
Fingerboard Inlay:Slotted Diamonds
Machine Heads:Grover/G98”Clipped-end”
Rosette:White&Black
Binding:White&Black
Pick Guard:Tortoise Color
Pick up:none
Nut width:44.5mm
Scale:645.2mm
Case:Hard Case