スペイン・マドリッドの世界的名工"Paulino Bernabe"(パウリーノ・ベルナベ)。アルハンブラの想い出の作曲者でもあるフランシスコ・タレガの弟子ダニエル・フォルテアの元でギター演奏に励んだのちに、ギター製作へ転向。1950年中頃には名門ラミレス工房にて製作を学び、その技量の高さから職工長を務め1969年に独立の為、工房を去りました。ラミレス工房から独立後の1971年、ミュンヘンの国際工芸博覧会で金メダルを受賞。1972年には名作「禁じられた遊び」の"ロマンス"で知られる巨匠ナルシソ・イエペスのために10弦ギターを製作。イエペスは亡くなるまで彼のギターをメインとして愛用。2007年の初代パウリーノ・ベルナベ亡き後、2代目のパウリーノ・ベルナベ・ジュニアは、父の製作技術と精神を受け継ぎながらも独自のエッセンスを取り入れて、時代のニーズに合わせた演奏性の高いギターを製作しています。本器は初代パウリーノ・ベルナベにより製作された1本。1990年製作品。スプルーストップ、ハカランダサイド(レイヤード)&バック、セドロ棹、黒檀指板、ローズウッド下駒、ナット幅約53mm、弦長650mm。均一なサウンドバランスかつ遠達性に優れた伸びやかなトーン。スペインギターでしか味わえない線の太い実音で、そこにまとう甘美な倍音。力強さと優雅さが両立した洗練されたサウンド。凛とした高音にディープな低音、立ち上がりや減衰はなめらかで音粒の分離も明瞭。指板全体でしなやかに鳴り、実に伸び伸びとしています。内部構造は同氏の名器"Especial"と同様のオリジナルブレイシング。サウンドホール上下に一本ずつ、サウンドホール下部から高音側と低音側の横板に向けて八の字型のように1本ずつ、ボトム部にも逆八の字型に2本のバーが設置されています。ブリッジ真裏あたりに表面板の木目に沿うように平行に設置された3本の力木とブリッジプレートという構造です。1弦側サイド面に打痕修正跡があり、塗装修正によりオリジナルの塗装とやや反応して白濁している箇所がございます。トップ面ロウワバウト箇所に木目に沿った筋が見られますが木部までは達しておらず表面上のものです。3弦ペグシャフトに少し歪みがございますが、やや固いものの動作自体は問題なくチューニングへの影響も確認できません。バック面くびれ箇所に恐らく経年による木材の収縮により僅かな段差がございますが材自体はしっかりと固まっておりご使用に影響はございません。その他、弦飛びによる傷、打痕や擦り傷など使用感は散見されますが割れなどの致命傷は無くしっかりと使い込まれてきた印象です。汎用ハードケースが付属いたします。
表板:松
側板:ハカランダ / ダブルレイヤード
裏板:ハカランダ
指板:黒檀
下駒:ローズウッド
指板幅:53mm
弦長:650mm
ハードケース付属